平成18年度研究事業 株式会社サン・ビック、日本環境安全事業株式会社 視察報告 |
平成18年度の研究事業として、愛知県で地球環境保全に取り組んでいる優良事業所の見学会を行いました。 当文献は2007年1月号(通巻168号)の「産業環境」に掲載されています。 |
1.株式会社サン・ビック 半田事業所 2.JESCO 日本環境安全事業株式会社 豊田事業所(PCB廃棄物処理施設) |
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汚染土壌の浄化と廃水処理の無害化に貢献・・・株式会社サン・ビック 半田事業所 |
平成14年に土壌汚染防止法は公布され、翌年3月から「搬出する土壌汚染の処分方法」が環境省から告示された後、認定された汚染土壌浄化施設での浄化が定められていますが、はじめに視察した株式会社サン・ビック半田工場は平成17年3月に愛知県より「汚染土壌浄化施設」の第一号として認定され、半田市で汚染土壌の収集運搬・分級処理により浄化された土砂のリユース、リサイクルまた、セメント原料化へと汚染土壌の改良を通じ一貫したシステムによる高度な中間処理施設であった。 半田事業所では受け入れた汚染土壌はこの施設で環境基準以下に無害化されたことを確認後、地盤改良材や計量骨材とし、有価物として販売すると共に、更に汚染土壌の調査・分析及びコンサルタント業務から設計・施工まで幅広く業務に取り組んでいる。 また、半田事業所では汚染土壌改良の他、同じ事業所で亜臨界域(SC)システムによる廃水の処理施設も併設されており、湿式酸化方式により高COD廃液、有機塩素系化合物、有機ハロゲン系廃液(フッ素、臭素、ヨウ素を含む有機物)、シアン系廃液やその他難分解性有機化合物(イオウ)、その他、高BOD廃液や特管の廃酸・アルカリ、アンモニアや硝酸等の高窒素廃液をこのシステムにより低分子化と分解により環境負荷軽減と無害化処理を行っており、正に地球環境にやさしものづくり工場と言うにふさわしい工場であった。 |
廃水処理施設(写真左)と土壌浄化施設(写真右) |
<株式会社 サン・ビック 半田事業所 お問合せ先> 所在地 〒475-0033 愛知県半田市日東町1番地7 п@0569-32-5551、FAX 0569-32-5552、URL http://www.sanbic.jp 〔営業部門:株式会社 G・Eテクノス 関連会社:サンワ技研 株式会社〕 |
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安全に廃棄管理されたるPCB(ポリ塩化ビフェニル)の適正処理・・・ |
PCBは昭和43年に発生したカネミ油症事件を契機に製造が中止され、国内では昭和47年までに約54,000tのPCBが使用されていると言われています。生物の体内に濃縮されやすいことから、その毒性による汚染が大きな社会現象となり、昭和49年にせ製造や新たな使用が禁止されて以来、各企業は適正な廃棄処理ができるまで保持しているトランスやコンデンサ及び安定器等の厳重な保管管理を余儀なくされてきてきました。その後、平成13年に「PCB廃棄物処理特別処置法」が制定され、平成28年7月までに廃棄処理を完了することが保持者に対し義務付けられています。
JESCO日本環境安全事業株式会社は国の全額出資により、環境省の旧環境事業団のPCB廃棄物事業等を継承し、平成16年4月に設立された全国を5つの拠点に分けてPCB廃棄物の適正廃棄物処分施設を整備されていますが、今回、視察を行った豊田PCB廃棄物処理施設の受入れ処理対象地域は、静岡県、愛知県、岐阜県の4県を対象としています。この地域内に保管管理されている高圧トランス・高圧コンデンサ及び、これらと同等以上の大きさを有する形状の電気機器並びにPCBとPCBを含む油を処理の申し込みにより順じ処理時期を連絡し受け入れて処理を行う施設となっている。 更に、中小企業に対しては処理費用を軽減する制度もあり、対象としては中小企業(みなし大企業は除く)、常時使用する従業員数が100人以下の学校法人等、及び過去に中小企業等であった個人であり、また、対象となる廃棄物はトランス類・コンデンサで10kg以上の物が用件となっているが、但し、PCB油類及び安定器等は対象外となり、これらは処理料金の70%が軽減されるとのことである。(詳しくは日本環境安全事業株式会社までお問い合わせください。) 同処理施設内は7階建てになっており、廃棄物の受け入れから処理過程、そして処理後の廃棄物管理の複雑な処理工程が各工程毎に見学でき、安全管理が確認できた。 処理方法としてはPCBの分解に脱塩素化分解法を採り入れており、容器・内部部材からのPCB除去は溶剤洗浄法と真空加熱分解法で行っている。また、高圧トランス等の中にあるPCBを容器の内部や部材に付着したり浸み込んでいる物も含め、化学的に分解処理され、施設の中は外見からは判断できないほどの精密化学工場のようであった。なお、処理能力は一日1.6t(PCB分解量)である。 しかし、同施設は平成17年8月から操業を開始したが、同年11月に漏洩事故の発生により操業を一時停止していたが、施設の安全性と環境保全が確実に確保され、豊田市からの認証を得た平成18年7月からの操業の運転を再開し、現在は順調に計画的な処理を行っていた。
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日本環境安全事業株式会社 豊田事業所 PCB廃棄物処理施設 PCBの受入調整設備 |
<JESCO 日本環境安全株式会社 豊田事業所 のお問合せ先> |
作成:資生堂 掛川工場 設備管理グループ 能村 修 様 |